2019.10.19
今日の茨城県常総市は雨。台風が過ぎたら一気に肌寒くなりましたね。
こんにちは。自然素材の家づくりにこだわる 建築アトリエ夢空間マツダ 一級建築士の松田直樹です。
先日の台風19号は各地で甚大な被害をもたらしました。そこで再度、水害後の家屋につきましてまとめたいと思います。
写真は台風19号の翌日、以前の水害が頭をよぎり、眠れず明け方に撮影したものです。
私が住む茨城県常総市も2015年9月関東・東北豪雨により、鬼怒川の堤防が決壊し、多大なる被害を受けました。その時の経験をいかし、少しでも多くの方の不安を解消出来たらと思い、アドバイスさせていただきます。当時はあまりにも水害の経験がある方が少なかったため、とにかく過去に水害が起きた地域の建築士等に問い合わせ、初期対応をどうしたらいいのかを聞き集めました。それを元に私の考えをまとめてみましたのでよろしければどうぞご覧ください。
(注意:これはあくまでも一級建築士である私個人の考えです。建築士により考え方はそれぞれですので、ご了承くださいませ。現在はもっとより良い対処法が出ているかもしれません。)
被害を受けた家屋のの片付けが終わった後、どうしたらいいか分からない方が多かったと思います。
ここで間違えなく言える事、それは、早まったリフォームは後々大変なことになるということです。まずは床下を乾かすことからがスタートです。床や壁を十分に乾かさずにリフォームしてしまい、再リフォームした話もいくつか耳にしました。焦る気持ちは分かりますが、まずは床下を完全に乾かすことから始めて下さい。洗浄して扇風機やサーキュレーターで乾かしての繰り返しです。構造材の材種にもよりますが、最低でも3週間は必要かと思います。(構造材が集成材の場合は貼り合わせの間から入り込んでるため洗浄と乾燥に時間がかかります。可能ならば交換をお勧めします。)常総市の近辺ではサーキュレーターが無くなると言う事態が多々ありました。こちらも一緒にご注意ください。また、必ず悪徳業者が現れます。実際に現れた話は何度もお聞きしました。必ず信頼のおける業者さんへ依頼して下さい。
洗浄、乾燥方法につきましてご説明します。
まずは床下を乾かすことからです。とは言っても、乾かす前に作業が必要です。
床上浸水の場合、
まずは壁を剥がします。浸かってしまった壁から15cm~20cm上の壁を剥がして下さい。時間が経っている時は石コウボードなどの下地材が吸い上げていますので、さらに上部まで剥がして下さい。石コウボードは吸水するとカビが発生します。状況により壁全体となることもあります。(解体する場合はまずは壁からです。床を先にはがすと作業がしにくくなります。)この時、間違っても構造体である柱は傷つけないようご注意ください。その後、壁の断熱材の状態を見ます。グラスウールの方が多いと思います。グラスウールは一度水分を含んだら断熱効果はありません。例え乾いていたとしても外して下さい。そのまま入れておくと、構造材を腐食させる原因にもなります。次に床をはがします。
ベタ基礎の場合、
床下の泥を取り除いて、雑巾等で水気を無くし、強制的に扇風機やサーキュレーター等で乾かして下さい。(この時、土台、大引き等も水洗いしてください。)出来れば各部屋に一つくらいあっても良いと思います。匂いやカビが気になるため、途中でオスバン等の逆性石鹸を200~500倍に薄めたもの(雑菌の繁殖を抑えるので、柱、土台、あらゆる場所に広範囲で噴霧して下さい。)を噴霧しておいた方が良いです。
その後、扇風機等を使って乾かします。(一ヶ月くらいはこの状態で乾かして下さい。)最後にもう一度オスバン等の逆性石鹸を200~500倍に薄めたもので噴霧しさらに十分に乾かし、ベタ基礎の上に調湿材を乗せます。調湿材はゼオライトやEM床下調湿材をお勧めします。これらは調湿効果、脱臭効果に優れていて、ゼオライトの調湿効果は炭の約3倍、脱臭効果は炭の約30倍、EM床下調湿材の効果は炭の約4~6倍です。
これを敷いた後、防腐・防蟻材を土台、大引き等に塗ります。エコパウダーと言う商品は人体に無害ですのでこれを使うのも一つです。杉、桧等の土台であれば、油分を多く含んでいるため、侵入をある程度防いでくれます。(念のため塗っておくと良いです。)シロアリがいない地域から輸入された木材や集成材を使用している場合は、塗っておいてください。集成材はベニヤの様な合板と同様で屋内に侵入した水を吸ってしまい、カビ等が発生すると、シロアリの好きな空間となってしまうためです。
その後、床の施工となります。
補足ですが、壁、床をはがし、土台等を水洗いする際は柱等の水洗いも忘れないで下さい。土台等に防腐・防蟻材を塗る時に一緒に塗ってくださいね。床下に調湿材と言いましたが、しっかりと床下内が乾燥し、消毒も済んでいれば、フローリングにスリットを設け、通気等のガラリ(ルーバーの様な物)を付ける等の対策をしても良いでしょう。
床上浸水で布基礎の場合、
まずは汚泥を取り除いて下さい。その後ベタ基礎同様、扇風機やサーキュレーターで強制的に乾かします。この時も土台等の水洗いの工程を忘れないで下さい。(ベタ基礎参照)
ある程度乾いた後に消石灰を撒きます。(乾いていないと十分消毒の効果がありません。)畳1枚で茶碗2杯程度(多く撒きすぎるとカビの原因にもなります。)です。消石灰は水に溶けると強アルカリ性となるため、使用する場合は十分に気を付けて下さい。水流により、束石がずれていることがありますので、こちらは入れ直して下さい。その後ベタ基礎同様一ヶ月程度は乾かして下さい。十分に乾いた後、一番は防湿シートを敷き込んで、コンクリートを打つことですが、コスト面を考えると中々難しいです。そのため、防湿シートを敷き込んだ後、ベタ基礎同様調湿材を撒いて、防腐・防蟻材を塗り、後はベタ基礎後の処理の通りです。
コンクリートは鉄筋ではなくワイヤーメッシュ筋でも良いかと思います。(コスト減のため)土台大引きを交換するかは専門に見てもらう事が一番ですが、私が見る限り、ヒノキや杉等については 、油分で弾くためか カビの付着があまり見られなかったが、 集成材の柱は張り合わせ部分から カビが繁殖しやすいという事が分かりました。また、最近の家は高気密となっているため、非常に乾きにくい状態となっています。しっかり乾かさないとシロアリの好きな空間となってしまいますので、十分すぎるほどの乾燥をお考えください。しつこいようですが、とにかく乾かすことです。
次回は床下浸水で、ベタ基礎の場合をご説明します。
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