茨城県常総市にある設計事務所|1級建築士事務所 建築アトリエ 夢空間マツダ

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高気密・高断熱

皆さん、これから何十年も住んでいく家は快適で経済的である事が一番ですよね。その快適に過ごせる家づくりのために欠かせないのが高気密・高断熱です。
建築アトリエ夢空間マツダは高気密・高断熱住宅を設計するために、性能目標値をC値0.3(c㎡/㎡)、UA値0.39(W/㎡・K)としています。
それを踏まえて高気密・高断熱についてお話しします。

高気密・高断熱の家づくりをするためには、家の外部との隙間を少なくし、空気の出入りを無くす事で気密性を高くし、断熱性能(熱伝導率の低い)の高い断熱材を使用すれば良いです。とは言っても、そんな単純ではありません。
高気密・高断熱にするためには、しっかりとした施工性が求められます。単純に隙間を無くし、断熱性能を上げるだけではなく、余裕を持った換気計算、換気プランをしなければなりません。

この「換気」が非常に重要なキーワードとなります。

ここで、きちんと空気の流れを考えないと結露が生じます。
結露が生じるとカビの原因となります。カビが生えると、シロアリの大好きな空間となります。

高気密・高断熱の家づくりをするためには

安易に、「高気密・高断熱にしたいです。」と、工務店やハウスメーカー、設計事務所等に依頼し、その建築業者に経験が無く、知識が乏しかった場合、高気密・高断熱にする事はそれなりのリスクがあると言うことです。まずは、この事を頭に入れておいてください。

高気密・高断熱の家づくりをするためには

では、高気密は危険なの?と思いがちですが、そう言うわけではありません。逆を言えば、低気密の場合、隙間から空気が漏れてしまい、しっかりとした換気経路(空気の流れ)が出来ず、換気計画が出来ないのです。家づくりにおいて、空気の流れを作ると言う事は非常に重要な事です。

高気密にすると言う事は、換気経路を明確にし、しっかりとした換気計画が出来ると言う事でもあるのです。

では、高気密にするための指標となるC値についてお話ししましょう。C値と言う言葉は耳にした事がある方もいるかと思います。C値とは、住宅における相当隙間面積を言い、建物全体にある隙間の面積(c㎡)を延床面積(㎡)で割った数値で気密測定を行うとその数値がはっきりします。

このC値は、家に対してどのくらい隙間があるかを示す指標ですので、C値が小さいほど隙間が少ない。つまり、C値が小さいほど気密性能に優れていて、高気密であると言う事です。

建築アトリエ夢空間マツダではC値0.3(c㎡/㎡)を目標としています。

高気密にする事は、断熱材本来の性能を発揮させ、壁体内結露も起こりにくくさせると言う事でもあるのです。
この様なことから、高気密には高断熱は付きものなのです。

高断熱にすると言う事は、断熱材の性能の高い物を使用すると言う事です。とは言っても、断熱材の性能を上げるだけでは高断熱にはなりません。先程お話しした換気も関わってきます。

高気密にするための指標

換気は建築基準法で定められていて、常に新鮮な空気を取り入れ、古い空気を出し、一日中家の中の空気を新鮮な状態に保たなければいけません。
最近では少なくなりましたが、建築材料等に有害物質が含まれていると、高気密化した住宅では逃げ道がありません。そのため、住宅では、1時間に部屋の半分以上の空気を入れ替えなければならない、と言う計算が必要となります。

高気密にするための指標

と言う事は、外部から給気口を通じて空気が侵入します。冬場ですと冷たい空気が入ってきます。せっかく断熱性能の高い断熱材を入れても冷たい空気が入って来てしまったのでは意味がありません。そこで、高断熱に欠かせないのが、熱交換型の換気扇です。

以前までの住宅の換気方法として一般的だったのは、外から給気口を通じて自然の空気を取り入れ、排気口から機械で強制的に空気を出す第3種換気と言われる方法でしたが、高気密・高断熱住宅では、第1種換気と言われる、給気口から機械で強制的に空気を取り入れ、排気口からも機械で強制的に空気を出す方法が主流となります。この機械を熱交換型にする事で、外の空気を室温に近い温度へ変換し、外気温に左右される事なく換気ができます。

次に、高断熱において欠かせないのが「窓」です。皆さん、窓際は寒いと言う経験をした事がありますよね。窓際に座っていると、カーテンの隙間から冷たい空気が流れてくる経験があったかと思います。この様に、窓は熱を通しやすいんです。あるデータによりますと、家単体として考えた時にどの部分からどれだけ熱が伝わるか?つまり、家の中でどれだけ熱が逃げていくのか?の割合をデータにしたものがあるのですが、床7%、外壁15%、換気15%、屋根5%、開口部58%とあります。

窓から半分は熱が逃げていくという事です。と言う事は簡単ですね。開口部の断熱性能を上げることが一番断熱効果があるという事です。とは言っても、ただ、やみくもに断熱性能を上げるだけではダメです。

ここからは、日射熱取得率ηの話も入ってきます。
日射熱取得率(η値)は、ガラスに入射した日射量に対する透過した日射量の割合です。この値が小さいほど日射の侵入を防ぐ遮熱効果が高いという事です。

つまり、夏場の強い日差しを室内に取り入れたくない場合、遮熱効果が高い、日射熱取得率(η値)が低い窓ガラスを入れてあげればいいと言う事です。

高断熱において欠かせない「窓」

大げさかもしれませんが、ガラス一つで窓の性能、機能、住み心地、省エネ性が変わると言う事は覚えておいてください。今更と言う方もいるかもしれませんが、複層ガラスは2枚のガラスを組み合わせて中空層を作ったガラスで、単純ではありますが、単板ガラス(ガラス一枚)の約2倍の断熱効果です。

トリプルガラスは同様に3枚のガラスを組み合わせて、中空層を2層作ったガラスです。この中空層にクリプトンガスやアルゴンガスと言った高性能ガスを注入することでさらに断熱性能を高めることも出来ます。

高断熱において欠かせない「窓」

また、これ以外の断熱性能を高めるものとして、LOW-Eガラスがあります。最近ではLOW-Eガラスと言う言葉もメジャーになってきたのではないでしょうか。LOW-Eガラスとは、片側のガラスに特殊金属膜をコーティングし、断熱効果をアップさせるというものです。

複層ガラスの場合、LOW-Eガラスを室外側に付けると、夏場の強い日差しをやわらげる事が出来ます。これを「日射遮蔽型」と言います。
逆に、LOW-Eガラスを室内側に入れると、太陽の日差しを家の中に取り込みつつ、暖房による熱を外へ逃しづらく出来ます。これを「日射取得型」と言います。
地域によって太陽の高度は変わります。この「日射遮蔽型」と「日射取得型」を地域に応じて適切に使い分ける事が大切なのです。

たまに、「このガラスをペアガラスからトリプルガラスへ変えましょう。そうすれば、断熱性能がグッと上がりますよ。」何て、何も考えずに言う業者さんもいます。そんな単純ではありません。例えば、私が住んでいる茨城県常総市はこんなにも日照に恵まれているのです。南側の窓ですが、冬場のせっかくの暖かい太陽の光をトリプルガラスで遮断してしまうのはもったいないです。

トリプルガラスと言うのは、LOW-Eガラスが2枚入ります。すると、日射遮蔽効果も上がるため、冬の暖かい日差しもカットしてしまうのです。私が住んでいる地域に近い場所では、トリプルガラスを使用するのは南面以外としましょう。もちろん、これは建物が南を向いていることが条件となります。
また、日照時間の少ない地域ではトリプルガラスを南面に持ってきた方が効率的な場合もありますのでご注意ください。

高断熱において欠かせない「窓」

この様に「窓」の性質を念頭に置きながら窓の設計をしていく事が基本です。

もう少し自然光の利用についてお話ししましょう。
先程、ガラスで日差しをやわらげる話をしましたが、最も効果的なのは日差しを部材などで遮る事です。この日射遮蔽は夏場においての基本です。庇などを窓上に設け、真夏の強い日差しをカットする事はとても冷房効果が高いと言えます。つまり、新築の場合は適正な軒の出を設計段階で考えてあげる事が重要です。

この様に、冬の暖かい太陽光を取り入れ、夏の暑い太陽光をカットする、と言う基本的な太陽光の計算を設計段階で取り入れる事は、断熱の設計においての基本中の基本となる事であり、根本的にここを間違えてしまうと非常に不経済です。

自然素材に囲まれ、健康的で快適な家に住むこと

これは日射熱取得率(η値)も関係する事なのですが、日射熱取得率(η値)には冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)と暖房期の平均日射熱取得率(ηAH値)があります。これも一つの指標なのですが、夏場は太陽の光を出来る限り取り入れたくないので、ηAC値を低くする事で冷房効率が高くなります。冬場は暖かい太陽の光を出来る限り取り入れたいので、ηAH値を高くする事で暖房効率が高くなります。

では、私の住む茨城県常総市を基準としてUA値をHEAT20のG3(0.23W/(㎥・K))まで下げた家の日射熱取得率(η値)を考えてみましょう。ηAC値は低くなるので夏の光熱費はグッと抑えられます。一方ηAH値は色々工夫しても上げることが出来ません。(実際に計算してみると分かります)つまりUA値ばかりを気にして、UA値を出来る限り低くしようと設計しても、ηAH値を上げない事には冬の光熱費を抑える事は難しいのです。この事を念頭に置きながらバランスの良い設計をする事が本当に経済的かつ快適な家づくりと言えるでしょう。

快適な家と言うのは自然光を利用する事です。そのため、これから土地を購入する方は周辺の建物や植栽の位置なども踏まえて土地選びをしてください。
これはあくまでも高気密・高断熱の設計段階のスタートです。何度も言いますがこれが基本中の基本です。これをベースにする事で「窓の性能」や「日射遮蔽部材」と言った部分がより効果的となり、逆にこの部分が出来ていないと、他の部分の本来の効果が発揮できず、それこそ宝の持ち腐れ状態に陥ります。

自然素材に囲まれ、健康的で快適な家に住むこと

高気密・高断熱の設計と言うのは非常に難しく奥が深いです。しっかりとしたバランスの良い設計をしてあげる事で、より快適な家となるでしょう。また、そこに自然素材を入れるとさらに健康的に暮らせます。

高気密・高断熱と言うのは、イニシャルコストは高いですが、長い目で考えると、ランニングコストがグッと抑えられ、とても経済的です。
そんな事から建築アトリエ夢空間マツダでは、お客様に応じて外断熱通気工法or吹付断熱(発泡ウレタンなど)or吹込み断熱(セルロースファイバーなど)をご提案しています。さらに断熱性能を上げたい時は、外断熱通気工法+内断熱(吹付断熱or吹込み断熱)のダブル断熱を採用する事で、UA値0.3(W/㎡・K)以下も可能です。

これから何十年と暮らしてく中で、自然素材に囲まれ、健康的で快適な家に住むこと。経済的にも安心な家に住むこと。これが理想ですよね。

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